動物の装備 

050831 モカ原稿
Last update 050910

Animal Item Slot

from Wild Life
by いしかわ



 とうとう戦士大全が発売され、また「大全」シリーズが展開していこうとしている中、着々とパウァを求めるプレイヤー達が増えてきているようで喜ばしい限りである。
 しかしそんな中、「ベアウォーリアって熊に変身したら弱くなんね?」「つうか動物ってアイテム持てないからすぐ死なね?」という声があちこちで聞かれるようになってきた。
 確かに動物は《つかみ強化》や飛びかかり、ひっかき、引き裂きなど、攻撃面で優秀な能力を有するものが多い反面、外皮と【敏】ボーナス以外の防御手段を持たず、ACが低いものが多い。ドルイドが前衛を支えるべく自然の化身で変身したとたんザコにぶん殴られあえなく気絶、なんていうのも中レベル域ではよく見られる光景である。またいくらでも交換のきくサモンネイチャーズアライであればまだしも、いつも連れて歩く動物の相棒が弱いままでは安心して連れ歩くこともかなわない。1日の儀式でおかわり来るんだからいいじゃんとか言うな

 現行ルールでは動物がどんな装備が可能なのかが全く持って定かではないという点が、この問題の根源にある。エイプのような生物なら人間同様の装備ができるかも、とも思うが、これがキリンやカバだったらどうなのかといわれても正直わからん。鎧も馬にはバーディングがあるものの、キツネやイタチのための鎧があるのかどうかもよくわからない。

 この点は3e時代からの懸案となっていたわけであるが、おお、見よ、同士よ。
 WotCオフィシャルサイトのコラム”Wild Life”にて、動物のためのアイテムスロットが示されているではないか。


 というわけで以下にその抄訳を示そう。


Animal Item Slot

 4つ足で歩いてる動物が鞍やバーディングをつけてるところってのは簡単に想像できるけど、他のアイテムがどれくらいつけられるか、っていわれるとちょっとアレだよな。というわけで、以下に示すのは四足歩行動物がどんなアイテムがつけられるかについてのリストだ。動物だけでなく一部のモンスターにも適用可能だろう。
<動物のアイテムスロット>
・兜 or 帽子 [頭部]
・レンズ1組 or ゴーグル類  
[眼]
・首輪 ※
・サドルブランケット or ベスト 
[衣服]
・鞍 or ジャケット 
[外套] 
・ベルト or 背中に回すタイプのストラップ 
[ベルト]
・胸や肩にかけるペクトラル or ハーネス 
[ハーネス] 
・ブレーサー(
前足のみ)    [腕輪]
(ひづめのある動物)前足に靴
 
蹠行性の動物)前足にミット
(ひづめのある動物)ひづめにリング (計2個まで)
 
蹠行性の動物)前足の指にリング (計2個まで)
(ひづめのある動物)後ろ足に靴
 
蹠行性の動物)後ろ足にミット
注)特記のない限り一カ所にはアイテムは1つまで。
 それ以上は装備しても機能しないとするのが良いだろう。
 蹠行・・・てのひらを着けて歩く動物。熊とか。

※人間で言う装身具スロット?
 動物用アミュレットなどが「武器装備ガイド」にあるので、
 必要ならこの辺を使う方向で。
 あとハミとか手綱もこの辺のスロットで代用?

 さて、上記記事が(おそらくは)唯一の動物のアイテム関係における記述であるわけだが、当該記事はごらんのごとくごく短く、また解説もないため様々な問題点がある。まあ、種族も形状もまちまちな動物すべてに適用できるアイテムスロットを設定しろって言うのがムチャなのはわかっているのだが。
 以下にはその問題点と、その問題点に対する雑感・解決案を示している。

■結局バーディングは着れるの?
 鎧が着れるか否かについては記述がない。「アイテムリスト」だからなのかも知れないが、このリストに従うと「動物には鎧スロットがない=着れない」ということになってしまう。
 ただ、この点については序文で「バーディングつけるのは当然」的な書き方がされていることや、PHB和p128にバーディングとしての記述があるので「着れる」で良いのだろう、と思う。
 《鎧習熟》を持たない動物にとって鎧は結構なペナルティ元だし、飛行動物だと軽装より重くはできないし。
 なお、鎧のサイズと価格についてはPHB和p120参照。

 #ところでバーディングの記述を読むと「戦闘時以外ははずしてないと馬が傷む」的なことが書いてあるが、具体的なルールがない。
 #フレーバー?


■武器は持てるの? 
 これもアイテムスロットがないが、「つかむための手があればよし」程度で良いかと。
 もちろん鎧同様、「武器への習熟がない」というペナルティを負う点を忘れずに。
 
■記述が四つ足動物についてのみしかない
 まあこれはしゃあないだろ。
 イルカとタコと犬を「動物」で括っちゃってる以上、全動物に共通したガイドラインは作れないだろうし。となると、

1)動物は全部コレ。イルカだろうがタコだろうがコレ。だってそう書いてあるじゃん。装備の方法は気合。
  【ルール原理主義派】
2)コレを基準にして動物にあった形態を考える。
  エイプは人間と同じ、とか。
  【ハウスルール運用(リベラル)派】
3)動物は一般装備はバーディングと鞍しかつけられず、動物用アイテム以外は作用しない。
  【コアルール至上派】

 この3つのどれでいくかをDMと話し合って決める、というあたりが妥当かなあ。
 ちなみにいしかわなら「2)よりの1)」。基本的には上記ルール通りで、どうしても納得いかないもののみ(2)的な措置を考える、という方向で。

■指行性動物はどうすればいい?
 そうなんだ。例には「ひづめのある動物」と「てのひらを着けて歩く動物(=蹠行性)」が示されているだけで、指行性動物(犬とか猫みたく指で歩いてる動物)についての記述がない。犬なんてしょっちゅう使う動物じゃんね。
 
 でまあ考えるに、指輪はOKだろう。何せひづめでもはめられるって言うくらいだから。
 あとは「手袋か靴か」という話になるのだが、犬の手に手袋はめて機能するかっつうと微妙っぽい。
 進化での分類上、指行性動物の爪の部分が変化したものが蹄行性動物で、構造的にも両者には類似点が多い。はず。
 ということで指行性動物は蹄持ち同様「前後の足に靴着用可」でよいかと。

#リベラル派として
「ミット派か靴派かを動物によって決定・記録しておく」でも良いとは思いますが、
#ぶっちゃけ指の長さとかで分類・記録していくのめんどくさい気が。

 ところで、動物がこれらのアイテムを装備したまま活動できるとなると、気になるのは”自然の化身”ないしポリモーフ系呪文だよね。ポリモーフ呪文には「装備できないアイテムは新しい形態に溶け込み、装備できるアイテムはそのクリーチャーにあわせた形に変形する」てな記述がある。
 ということは、プレートメイルを着たHFOが馬にポリモーフしたら、「バーディングを着けた馬」が誕生するのだろうか?
 そのHFO(ホース・ファイター・オス)は鎧を着た状態で戦場を暴れ回ることができるのか?

 残念ながらそうはいかないようだ。
 WotCのサイト内コラム”polymorphing"によれば、人型と非人型の鎧は共用できないものらしい。

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Rules of the Game: Polymorphing (Part Three)より


人型:   フェイ、巨人、人型生物、人怪、来訪者*
非人型: 異形、動物、竜、エレメンタル、粘体、虫

  *全てではないが大部分は人型生物に類似している。

 一般的に、人型形態の者が他の人型形態に(ポリモーフなどで)変形した場合、すべての装備はそのまま、機能とともに残る。対象の装備は新しい形態に合わせて変形する。装備は適切なサイズになり、新しい形にフィットするように変形する。術者は多少なら装備のディテール(色、柄、飾りなど)を変えることもできる。

 対象が人型形態から非人型形態に変形(逆もまた然り)する場合、装備のほとんどは新たな姿に溶け込み機能しなくなる。装備が新たな形態でも装備できるものであれば、そのまま機能することもある。例えば、人型生物が装備するために作られた鎧、クローク、ブーツ、衣類のほとんどは非人型生物の体には適合しないだろう。一部のアイテムはほとんどの種類の形態に適合する。例えば指輪は指を持っているほぼ全ての姿に適合する(クリーチャーがたくさんの手や同種の追加器官を持っていたとしても、指輪は2個までに制限される)。同様に、ネックレスは首を持っているほぼ全ての形態に適合する。 

訳:D20板のDoppelganger@CR3さん
(一部訂正:いしかわ)

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 ・・・・・・なんか青字の部分が激しく気になるなあ。
 確かに鎧がダメでアイテムはOKってのもおかしな話ではあるんだが。靴とかミトンとかも動物用に作るってんならともかく、人間用のモノが馬とか牛が使えるのかよって気もするし。

というわけで本家Sageに問い合わせてみた。


Q(いしかわ). Wild LifeとPolymorphing読んだんだけど、よくわかんない。結局動物は人間のブーツ履いたりできるの?人間がブーツ履いたままで馬にポリモーフしたら、ブーツの効果は残るの?残んないとしたら、つまりWild Lifeの記事で言ってる「装備可能なアイテム」ってのは「動物用のクローク」とか「動物用のブーツ」ってことなの?

A.(Sam S. )Animals cannot wear a human's boots. When you Polymorph into a horse your boots become absorbed into you and cease functioning. The animal's item slots in the Wild Life article are not for polymorphing. They are slots that you can create magic items for, if you want to make magic items for your animal.
 (訳)動物は人間のブーツを装備できない。もし君が馬にポリモーフしたら、ブーツは馬の体に吸収され、機能しなくなる。Wild Life記事の「動物のアイテム」てのはポリモーフ用のものじゃない。もし君が動物用のアイテムを作ろうと思うなら、あのスロットにあわせて作ることができる、というものだ。


 だそうです。
 つまり、少なくとも鎧、クローク、ブーツ、衣類のほとんどは動物用のもの(=非人間形態のもの)を作る必要があるということだ。
 ・・・・・・でも指輪はOKなんだよな?ネックレスも平気そう。

 じゃあベルトは?兜/帽子は?
 ううむ。


とりあえずいしかわがDMなら

 非人間でも装備可能
  :兜/帽子、レンズ/ゴーグル、ベルト/ストラップ、ブレーサー、リング

 人間←→非人間間の融通不可
 :首輪、サドルブランケット/ベスト、鞍/ジャケット、ペクトラル/ハーネス、靴、ミット


 とでも分類しておくことにしようか。
 無論オフィシャルでもなんでもないのでアレですが、ご意見などありましたらH・Forumまで。

 ともあれ、変身前後では相当装備の編成が変化しそうだ。
 となると、変身後の戦闘能力はどれくらいになるんだろう?

 もちろん、ルールに従っていけばこうした場合の戦闘力を計算することは難しくない。
 しかし、いつも同じ生物に変化するならともかく、例えばドルイドなんかは戦況にあわせて意外といろんな生物に変身したりするので、変身の度にアイテムの修正入れて呪文の修正入れて---なんてやってると結構めんどくさい。


 そこでいしかわは考えた。
 そんじゃ、とりあえず記録用紙でも作ってみるか。

 というわけで作ってみたのが以下の表である。


 <ダウンロードせよ!>

 動物/クリーチャー用キャラクターシート
 PDF版


 こいつはポリモーフ/自然の化身使用に向けてキャラを前もって作成しておくばかりでなく、動物NPC(動物の相棒とか《統率力》 で得たクリーチャーの腹心とか)を記録しておくこともできる。なのでとりあえず変身しそうな動物といつも使っている装備を書き込んでおき、変身の時の状況に合わせてアジャストする、という使い方がやりやすいのではないだろうか。
 通常の動物としての能力の他、呪文やアイテムでのアドバンス欄を広くとってこれ一枚で戦闘時にも困らないような設定にしてみた。

 まあ使っとけ!



 なお、動物の相棒についてはこちらにまとめてあるのでご参照のほどを。